あのこになりたい

「私…帰らなきゃ…」



私は、逃げるように立ち去った。


シュンは追って来たが無言だった。



「じゃあ…」


私がシュンに言うと、


「母さんにお礼言っておいて…」


そう言った。


私は頷いて背を向けた。



「咲、恋は…自分で終わらせるまでが恋だ」


シュンはそう言って走って帰った。



「そうだね…」


聞こえるわけないけど返事した。



家に帰ってからも綾と幸輔の後ろ姿を思い出していた。


綾が…好きなのかな。


絶対綾が好きで幸輔に近づいたんだ。



スリムになって自信ついたみたいだったし。


昔はあんなに丸かったのに。


幸輔は…綾をどう思ってるのかな。


綾はあまり勉強できないしたまに変なこと言うし。


幻滅とかされないか…


心配…


ていうか、幻滅しちゃえばいいのに。



私の中でドス黒い何かが込み上げる。