あのこになりたい

その日、兄はすっきりした髪になって帰ってきた。


清潔感あふれる爽やかさが兄に戻ってきた。



「おかえり」


私はニコニコしながら兄に言った。



「ただいま…あのさ、一応言っておくけど。モデルとか俺は言ってないから」


兄はあまりにニコニコし過ぎな私に向かって言った。


「え?じゃあ誰が言ったの…?」


不思議そうな私の顔を見て、


「有田じゃない?あいつなら言いそう」


兄は笑いながら言った。



シュンが…?


確かに、シュンなら軽いノリで言えちゃいそう。



「なーんだ、喜んで損した」


口を尖らせて言うと、


「有田かわいそ〜」


兄が笑った。



「私の方がかわいそうだよ」


私はそう言って部屋に入った。