あのこになりたい

「噂には聞いていたけど、ほんとモデルさんみたい!」

若菜さんの言葉に私は照れてしまった。



「岡田…ごめん!後でって言ったのに。若菜ついて来ちゃって」


シュンが兄に謝ると、


「だって…」


若菜さんは丸いほっぺたを少し赤くした。



かわいらしい人…



「驚いただろ…?」


兄は気まずそうに若菜さんに少しずつ近付いた。


若菜さんは涙目で首を横に振った。


「ごめんな…」


兄の言葉に若菜さんの大きな目から涙がこぼれた。



若菜さんの仕草や表情だけでも兄をとても大切に思ってくれてることが感じられた。


それはつまらない兄への嫉妬心さえ忘れさせてくれた。


さすがに若菜さんに向けた母の目も柔らかだった。