あのこになりたい

「帰れよ…!」


シュンを突き飛ばした。



「痛っ…」


シュンは驚いてはいたけど少し笑っていた。



「なんだよ、その髪。髭も。そんなの流行ってねぇぞ」


シュンが言うと兄は真っ赤な顔で怒り出した。



「おまえ…何しにきたんだよ。自慢か?見下しに来たのか?俺が落ちた高校に受かって、大学にも進学して。俺を笑いに来たのか!?」


シュンは黙って笑っている。



「なんとか言えよ!」


兄は倒れたままのシュンの胸ぐらを掴んだ。



「なんだ…岡田元気じゃん。それに、俺のことよく知ってるね」


確かに…


兄は外に出てないし誰とも会ってない。


どうして?


「岡田さ…あいつに元気な姿見せてやれよ。若菜、もう2年もお前のこと待ってんだよ?」


若菜…?


誰?



「メールの返事さえまともに返さない岡田のことそれでも信じてずっと待ってんだよ」


シュンは…真剣な顔だった。