あのこになりたい

「そっかぁ…まずは携帯番号とアドレスじゃない?」

改めて口に出すとなんとも幼稚な恋愛。


何も始まってないんだから。



実際、始めようにも母が黙っていないだろうし。


私には無理なんだ。


恋愛なんて…。



その日の帰りにシュンと偶然出会った。


「久しぶり…」


シュンの笑顔はやっぱりいいな…


「友達にシュンを彼氏と間違えられてて…」


シュンは


「かっこいい彼氏って言ってただろ〜?」


と笑いながら言った。



「何それ〜」


私も笑った。



電車を降りて、シュンが真面目な顔になった。


「どうしたの?」


「今朝、学校昼からだったから咲ん家に行ったんだ」

シュンがうちに…?


「それで…?」


「お母さんにもう来ないで欲しいって言われた。岡田の心を乱さないでくれって。今まで積み重ねて来たものを…壊さないでくれって」


母に対するイラツキが走った。