あのこになりたい

「岡田くんに会いたいんですけど…」


シュンが言うと、


「あの子は…たぶん会いたがらないんじゃないかしら…ごめんなさいね、せっかく来て下さったのに」


母はシュンを帰らせたいのだろう。



「そうですか…。じゃあこれを岡田くんに渡してもらえますか?」


紙袋を母に渡した。



「わかりました…」


母は紙袋を受け取った。



「じゃあ…失礼します」


シュンは頭を下げて、玄関を出た。



追いかけたかったけど…シュンの心遣いを無駄にするわけにはいかない。


我慢した。



「お兄ちゃんに渡して」


母は紙袋を私に渡した。



紙袋を受け取り、兄の部屋へ向かった。


兄は、ドアを開けて立っていた。



「お兄ちゃん!」


私は階段をかけ上がった。


「有田…?」


紙袋を差し出すと、兄は黙って受け取った。


「なんだ…これ」