パパの帰りが遅いこの頃、こうやって私にあたることが増えた。



「雑誌を貸した友達は誰?そんな子とは付き合わないようにしなさい」



私は涙がこぼれないように黙って歯をくいしばっていた。



「だいたい髪の毛なんて伸ばしてるから…色気づいて余計なこと考えるのね…」

ママは引き出しから大きなハサミを出し二つに結んだ私の髪を切ろうとした。



「いや!」


私は逃げようとしたが…



バサッ


床に髪の毛の束が落ちた。


私は涙を流しながら静かに泣いた。



服には血がにじんでいた。


ひっぱたかれた時の鼻血がポタポタ落ちて涙と一緒に流れた。



片方だけ切られた髪と鼻血をたらす私を帰って来たお兄ちゃんが見て固まっている。



「咲…おまえどうしたんだよ」



お兄ちゃんは中学2年生で、文句のつけようのない優秀な兄だった。