あのこになりたい

「シュン…」


『また明日夕方同じ電車に乗るから一緒に帰ろう』


用事は兄にあるとわかっていてもなんだか嬉しい。



そういえば…幸輔は携帯持ってるのかな。



私はなかなか携帯を持たせてもらえず、綾が中学入ってすぐ携帯を持った時は本気で嫉妬した。



そのおかげで私はいつも携帯の話になると話に入れずにいた。


携帯を持っても今の学校でそれほど頻繁に連絡を取り合う人もいないから、結局綾とばかりメールしてたりする。


窓から会話した方が早い距離にも関わらず。



今度、幸輔に会ったら聞いてみよう。



「さて…予習でもしようかな」


子どもの頃のトラウマか、勉強しないと落ち着かない。


髪を切られるのはもうこりごり。


ある意味、母のペースにすっかりはまっている自分も憎い。



だけど…そうすることでしか自分の身を守れないんだ。