すっかり見慣れたシュンの家のインターホンを押した。


ドアをゆっくり開け顔を出す。

その笑顔にいつもホッとする。



シュンは髪を短く切り、着る服も、持ち物もすっかり大人になった。


あの頃は大人に見えたシュンも、今振り返るとまだかわいかったなぁ…なんてたまに思う。



シュンの家はあまり変化はないけど、変わったことと言えば、私の物が増えたことと、埃をかぶっていたサッカーボールが私の家の玄関に泥だらけになって転がっていること。



空がシュンの家に来た時、


「これで遊びたい」


と言って聞かないので遊ばせると、すっかり気に入ってしまい、シュンは空にボールをあげた。



あのサッカーボールは、シュンが母親からもらった最後の誕生日プレゼントだったそうだ。



リビングのソファに座ると、温かいココアをシュンが入れて持って来てくれた。



「ありがとう…先生」


私が笑いながら言うと、


「うちのクラスの生徒はもっと小さくてかわいいです」

シュンが私の頭をくしゃっと撫でた。