あのこになりたい

「ありがとうございます!」


兄はまた頭を下げた。



「今日のお兄ちゃん、今までで最高にかっこよかった」


私は兄の顔に薬を塗りながら言った。



「有田が聞いたら泣くぞ」

兄は笑いながら言った。



兄が急に大人になってしまったように見えた。


兄からの報告を聞いて、次の日若菜さんが家にやって来た。



若菜さんの親に話す日や、今の若菜さんの体の具合など色々な話をした。



若菜さんは、


「文康さんのこれからを大きく変えることになってしまって本当に申し訳ありません」


と頭を下げた。



「謝らなければならないのはこっちの方だ」


と親は頭を下げた。



親が頭を下げる姿はなぜか心苦しい。


兄も少しつらそうな顔をした。



「若菜ちゃん…学校は休学という形にはできないかしら?出産して落ち着いたらまた学校に通いなさい。そのための協力は惜しまないから。夢があって入ったんでしょう?」