あのこになりたい

「はい!」


兄は真っ赤になった顔を上げて返事をした。


「若菜ちゃんや生まれてくる子どもにとって、あなたはどんな時でも強い存在でいなくちゃいけないのよ…?最近まで部屋に閉じこもってたあなたに…誰かを養なったり、支えたりできるの?」


母の目は真剣で、精一杯の冷静さを保とうとしてるのがわかった。



「ここまで来るのにずいぶん時間がかかってしまって…父さんや母さんがいるから甘えてた自分もいたんだ。だけど、自分の子どもや若菜のために強くなりたいと思ったんだ。若菜と子どもには俺しかいないから。俺の手で守りたいんだ」


兄は母の顔をしっかり見て答えた。



母はため息をついて、


「若菜ちゃんを泣かすようなことにならないように…。今の気持ちを忘れないで、頑張りなさい」



そう言った。


母の目には涙が浮かんでいた。