あのこになりたい

夕食の時、兄がリビングに顔を出したのを見て少しホッとした。


「ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」


兄の言葉に心臓が飛び出そうになった。



「お兄ちゃん…?」


兄は私の方を見て少し頷いた。



父も母も何を言い出すのか不思議そうな顔をして兄を見た。


兄は少し口元に力を入れて肩で大きく深呼吸した。


「実は、俺進学を考えてて。ずっと勉強してた。とりあえず、人と関わることに慣れて社会に出ようと思って」

は?
赤ちゃんの話じゃないの…?


なんでそんな話するの?


私は兄が何を考えているのか全くわからず眉間にシワを寄せて兄を見た。


明らかに母は喜んでいる。


「お兄ちゃん!!」


私が怒鳴ると、兄は私に手の平を向けて、待ての合図を出した。



一体何…?

何様…?