あのこになりたい

「当たり前だよ」


シュンは若菜さんに笑顔で言った。



若菜さん家からの帰り道、シュンは私の手を強く握って、黙って歩いた。



「お兄ちゃん…大丈夫かな…」


私が言うと、


「岡田なら乗り越えられるよ」


と言った。



空から雪が降ってきて、私達は空を見ながら少しはしゃいだ。



2月の風は冷たく、寒くなると鼻が少し赤くなるシュンを初めて見た。


「シュン…私は若菜さんとお兄ちゃんの赤ちゃん心から楽しみにしてる。一人ぐらいいてもいいでしょ?こういう人…」


私が言うと、


「赤ちゃんにとってある意味命の恩人だからな…咲は」


シュンがそう言って私を抱き寄せた。



家に帰って、兄がまた引き込もってしまうのではないかという不安で私は何度も兄の部屋へ行こうとしては思い止まった。