あのこになりたい

「若菜の決断は、きっと若菜にとって大きな壁になるよ。岡田にとっても。越えられればいいけど…」


シュンは絶対頑張ろうって明るく笑ってくれると思ったのに…


どうして?


「シュンは若菜さんや私の考えが甘いって言いたいの?」


私がシュンに向かって言うと、


「そうじゃないよ。でも…人の心っていうのは弱くてもろい物だから」


シュンは感情的になっている私をなだめた。



私にはシュンが見ている景色が見えないよ。


私は、まだ知らないことが多いのだろうか…



1時間経った頃、兄が私の部屋に来た。


シュンが来ていることに驚いていたが、


「二人ともちょっと来て…」


と言って、私達を兄の部屋に入れた。



「咲は知ってたんだよな?」


兄が言った。


私は頷いた。



「そっか…」


兄はため息をついた。