あのこになりたい

「ここにいるんだって…ここに生きてるんだよ…」


若菜さんはおなかに手をあててそう言った。



「どうしよう…咲ちゃん。私…赤ちゃんに会いたい。赤ちゃん産みたい…」


今までとは違う若菜さんの涙。


私は、若菜さんを見て頷いた。


「私は…どんな答えでも若菜さんの見方って決めてたけど…」


私は涙が出そうになった瞬間上を向いた。


深呼吸して、


「若菜さんの出した結論がそれでよかった…!!」


笑顔で言った。



「これから大変になるけど、頑張りましょう」


私は若菜さんの手を握った。


「新しい命のために…」


若菜さんはすっきりした笑顔で頷いた。



まずは、兄に話さなければならない。


兄の反応が怖い。



若菜さんまた泣くことにならなければいいけど…