あのこになりたい

診察室から出て来た若菜さんの目は真っ赤になっていた。



「どうだった…?」


私の言葉に若菜さんは、


「3ヶ月…だって」


そう言った。



私は、若菜さんがどう思ったのか何を考えてるのか聞けずにいた。



病院を出て、しばらくして若菜さんは重い口を開いた。



「あのね…診察台に座った時…ものすごくつらくて、屈辱に近いぐらいつらくてつらくて。大泣きしちゃったの」


若菜さんはまだ赤い目のまま言った。



「どうして私なんだ。なんで私がこんな思いしなくちゃいけないんだって…。他に色んな人とやってる娘とか、彼氏と同棲してる娘とか…いるのに。どうして私…って思ったの」


若菜さんの本音はきっと同じ状況なら誰でも思うと思う。


「画面に白くて小さな赤ちゃんが映って。小さいけど、動いてたんだよ…」


若菜さんの声は震えて、大粒の涙が溢れた。