あのこになりたい

「楽しみですね…」


私が言うと、頷いた。



「あ…また動いた。すごく元気がいいんですよ」


おなかをさすりながら言った。



「…触ってもいいですか…?」


私は、失礼かなと思いながら聞いてみた。



「ええ…いいですよ」


私は、その人の笑顔に引き寄せられるようにゆっくり近づいて、そっとおなかに触れた。



あったかい…


ポコッ


「動いた!」


私は初めてのことに感動を覚えた。



確かに私の手に赤ちゃんの感触があった。



「すごい…」


私はしばらくその感動に浸っていた。



その幸せに満ちた顔を見ながら、私はとても悲しくなった。



「できたら困る…」


「今は無理…」


「よかった…できてなくて」



赤ちゃんってそういうものじゃないよね…


ひとつの命なんだ。


赤ちゃんは、大人の事情とか欲望とか関係なく、ただ一生懸命生きてる…


ただ一生懸命生きようと頑張ってる。