あのこになりたい

次の日、少し早めに待ち合わせ場所である駅に向かった。


若菜さんは来るだろうか。


不安だったが、時間通りに若菜さんはやって来た。


泣き腫らした目にはまだ涙らしき物が見えた。



地元の産婦人科で私達が二人で入っていくのを見られたら、さすがに不自然すぎるということで、電車で40分、バスに乗り換えて20分ほどのところにある産婦人科に行くことにした。



つわりのせいなのか、若菜さんは顔色も悪く、何度もハンカチで口を押さえていた。



不安でいっぱいの若菜さんの手を私はずっと握っていた。



産婦人科を目の前にすると、私は自分のことじゃないにしても足がすくんだ。



病院の中は、優しい色合いの壁、妊婦さんのための雑誌、優しい音楽が流れていた。



その中で私は、ガチガチに緊張してうつ向き気味に座っていた。



受付を済ませて、若菜さんは渡されたカルテを書いていた。