あのこになりたい

シュンが優しく包むように抱きしめてくれた。


私はこの胸で何度泣いただろう。



「大切なものがたくさんあるから、若菜は苦しいんだよ」


シュンが静かに言った。



「そうだね…家族の気持ちやお兄ちゃんの気持ち、自分の夢、お兄ちゃんの夢、家族の期待や願い…たくさん考えなきゃいけないもんね」


私は若菜さんの苦しい選択をただ見守ることしかできない…



「私は…私を信じてくれた若菜さんを支えたい。若菜さんの味方でいるって決めたから」


シュンも頷いた。


私の頭を撫でて軽く抱きしめた後、


「さて、役目は果たせたみたいだから、帰るよ」


そう言ってシュンは立ち上がった。



「ありがとう…」


私はシュンの後ろから抱きついた。



「ひっつき虫…」


シュンは振り向いて私を抱き上げた。



「私…重いよ?」


私が笑って言うと、


「咲一人ぐらい…どうってことないよ」


シュンは笑って言った。