あのこになりたい

「ううん…」


私は首を横に振った。



「じゃあ、俺は今から枕になるから。好きなだけ独り言でも何でもどうぞ」


シュンは枕の真似のつもりなのか、ベッドに小さくなって転がった。



私はしばらくそんなシュンを見て笑っていたけど、シュンの優しさで心が温かくなった。



「大丈夫かな…。今ごろ一人で泣いてるんじゃないかな…。自分の夢もあるし好きな人に夢を諦めさせるなんてできないよね…。でも好きな人との赤ちゃんは産みたいんじゃないかな」


シュンは静かに聞いている。



「どっちを選んでも犠牲にしなくちゃいけないものがあるよね…。もし誰にも言わず赤ちゃんを諦めれば、自分以外は何も変わらずにいれるかもしれない。だけど、それじゃあまりにも悲しすぎるって思ってしまうのは私がまだ子どもだからなのかなぁ…?」



私はシュンに抱きついた。