あのこになりたい

「もう…違うって」


私は笑いながら言った。



「この機会だから言っておくけど。俺は咲が産みたいって言えば全然嫁にももらうし父親になる覚悟あるから」


シュンは私の手を握って言った。



「いや…嬉しいけど。赤ちゃんいないから」


私はシュンの言葉に照れながら言った。



「そっか…」


シュンは安心したような寂しいような顔をした。


なんだかちょっと申し訳ない気持ちにもなってしまい、私はシュンの顔を覗き込んでシュンの視線がこっちに向くのを待った。

シュンは私に気付くと少し眉毛を下げて笑顔を見せてくれた。


「シュンが小学校の先生になって…それからでいいよ。私達の赤ちゃんは」

シュンが先生になるとこ見たいし。


あ…若菜さんも同じなのかもしれない。


それに、やっぱり学校だって卒業したいだろうし…


若菜さんにだって夢や目標があって今大学行ってるんだろうし。



「咲…何か悩んでる?」


シュンが聞いて来るまで私はどうやら固まっていたみたいだ。