あのこになりたい

どのくらいの時間が流れただろう。



「どうしよう…」


若菜さんはかすれた声で言った。



「病院へ行った方がいいですね…早いうちに」


私は当たり前のことしか言えなかった。



「病院…怖い…行きたくない」


若菜さんは泣きながら言った。


私は、若菜さんの隣に座って若菜さんの背中をさすった。



「お兄ちゃんには話しますか?」


私の言葉に、若菜さんは首を横に振った。



「でも…」


私の言葉に若菜さんは、


「言わないで…文くん大学受験するって今勉強頑張ってるの…やっとやる気になって…邪魔したくない」


そう言って泣いた。



若菜さんは兄が立ち直るのを2年間会えなくても、ずっと待ち続けてたんだから…


そう思うのも仕方ないのかもしれない。



「じゃあ、兄には話しません。でも、明日病院行きましょう。私ついて行きますから…」