あのこになりたい

「いいよいいよ。くじ引きで順番決めたからね…。私は早く終わる方がいいから」


申し訳なさそうにするその子に笑って言った。



「位置について〜よーい」

パーン!!



私は走り出した。


体全部が心臓になったみたい。


白組のテント前で大きな声援…


「岡田走れー!」


三井の声に押されるかのように私はぶっちぎった。



次の走者にパス!!



白組は1位キープのままゴール!!



「あの1年早かったね…」

後ろで声がする。



「えっ。あの子…さっきのイケメンの…!」


それは忘れて!!


私は聞こえないふりをしながらも心で返事した。



テントに戻るとすっかりヒーローになっていた。


「咲、すごい速かったね!」


「かっこよかった!」


かっこいいって…


かわいいにはまたほど遠くなって行った。



自分が実はこんなに体育会系だったなんて…


びっくりする。