あのこになりたい

「ちょっと、咲。借り物競走の人行ってるよ」


「ほんとだ!」



私は入場門に並んだ。



「とんでもないもの書かれてたら困るよね…去年は『イケメン』とかあったらしいよ」



隣に並ぶ同じクラスの美那が言った。



イケメンとか…


どの基準で…?


進学校のわりにこういうのが好きな学校だ。



順番が来た。



「位置について〜よーい」

バンッ


走りだすとすぐに風船が並んでいる。



これを割らなければ、紙に書いた借り物はわからない。


おしりで割る人もいるし手で割ろうとしている人もいる。



私は迷ったが…足で踏みつけた。


パンッ


イケメンだけは出ませんように…


中から出て来た紙を開いた。



『イケメン』



くじ運悪っ!!!



辺りを見回した。



イケメン、イケメン、イケメン…