「リレーメンバーに?咲はお父さん似なのね」


母は言った。



「お父さん走るの早かったの?」


初耳。



「お兄ちゃんはお母さん似だね」


私が笑いながら言うと兄は、


「どういう意味だよ…」


睨んで言ってきた。



「あははは」


私が大笑いしていると兄が私のお皿にあったエビフライを取って口に入れた。



「ひどーい!最後に食べようと思ったのにぃ」


私が騒ぐと兄はエビのしっぽだけ私の皿に戻した。



「食べ物の恨みは怖いんだからね!」



私と兄のやり取りを見ていた父が黙って自分のエビフライのお皿を出してきた。


「え…くれるの?」


私は父に聞いた。



「ああ」


父と会話するのは実際久しぶりだった。



同じ食卓を囲んでいても父はほぼ無言。



「ありがとう…」


私はエビフライをかじった。


さっき食べたのよりおいしい。