『死神は感情を抱いてはいけない。』




レノはそう呟くと、ふと悲しそうに顔を歪めた。





『どうして?』





千明はレノに近づく。






『例えば、魂を狩らなければいけない人間に対して、失いたくないとか、一緒に居たいとか、そんな感情を抱いてしまった場合、仕事に支障が出る。つまり、人間に感情を抱いてはいけない。』





レノは俯いた。






『俺は……そう思ってしまった。失いたくない……と。』







『え?』




千明はレノの顔を覗き込む。








『何でもない。じゃ、他に聞きたいことがあったら、また聞いてくれ。』





レノは自分の部屋に入っていった。






千明は不安そうにレノの背中を見つめた。