涙が途絶える日まで


『ハア‥。』

私が一人で窓を眺めていると

「瑠美?」

『美香。』

「どうしたのおっきい溜め息ついて。」

美香は部活が同じだから

最近よく一緒にいる。

『ん~。かっこいい先輩がいてさあ』

「誰々っ!?」

『坂本遼太郎』

「知らないわ」

『えーっ!あんなかっこいいのに。』

「なんか坂本龍馬みたいだね」

ふふっと笑う美香。

『全然違うからねっ!』

「いないの?」

美香も一緒になって窓の下を覗く。

『そろそろ出てくるんじゃないかな?』

もう放課後だから

下に見えるグラウンドには

部活に向かう生徒たちが出てくる。

あっ。

あっとゆうまに見つけてしまった。

あの髪、体格…絶対そうだ。

彼こそ私の胸をしめつける人。

『あの人だよ』

坂本先輩に向かって指差す。

「なんかこけしみたい。」

『そういうこと言わないのっ』

「でも瑠美は來弥くんだよね」

來弥…そうだ。

私來弥と付き合ってる。

坂本先輩を見てると

何もかも忘れてしまう。

これって…

…“好き”?

それを考えた瞬間に

ボッ

っと一気に顔が赤くなるのが分かった。

好きなのかな?

ううん。

そんなはずないと思うんだけど。

まって…もし好きだったら…

私どうしよう。

『美香~///』

なんだか恥ずかしくなってきた。

その時…

「美香?」

「桜花。」