涙が途絶える日まで


『ありがと』

「じゃあ」

『うんっ』

そのまま來弥とわかれた。

それからは

なかなか2人の都合があわなくて

全然会えなくなった。

その間に私の心は揺れつつあった。

それは会えなくなってから約一ヶ月。

いつものように部活に行った時…

スパーンッッ

「ナイスボール!」

「さっすがもっちゃんだあ」

「かっこいいぞっっ!」

私はその球に釘付けだった。

すごい場面を見てしまった。

綺麗なフォームに

サラッと流れる髪に

そしてキラキラしてる笑顔…

全部に惚れた。

『かっこ…いい。』

「え~っ!」

『わっ!茜先輩。』

「瑠美あーゆーの好きなん?」

『めっちゃかっこいいです。』

私が真顔で答えると茜先輩は

「來くんは?」

少し鼻で笑いながら言った。

『もちろん好きだけど…』

「この子最近会えてないらしいですよ」

『彩香っ』

「え~まじ?それは冷めるね。」

『いや冷めてないですって!』

「あっ!」

『ん?』

げっ。

來弥が倉庫に片付けをしに来てた。

何でこのタイミング~汗

「來くーんっ!」

『茜先輩っ!やめて~っ』

「何すか?」

來弥が振り向く。

『なんでもないからっ!じゃっ!』

それだけ言って

茜先輩の背中をおしながら

コートにもどった。

ふう。

あんなの來弥にいわれたらお終いだよ。

でもたぶん、來弥はこの時から

この後のことが何となく

分かってたんじゃないかって思う。