涙が途絶える日まで


え…

ぎゅって…

されてる…の?

『っ!さい…べ…?』

「これが俺の気持ち」

ぎゅーっ

さっきよりも強い力で

抱きしめられる。

なに言ってるの…

こんなことって…

ザーザー

と雨の降るなか、

2人はしばらくの間

抱き合っていた。

『ふぇ…っ』

「なっ!留美??」

『ふぇえ~ん』

まさか抱きしめてくれるなんて

思いもしなかった。

だって彩部には彼女がいて…

その子のことずっと大好きで…

『どこにも行かないで。離さないで。』

なに言ってるの私!

彩部にはまだ彼女が…

「俺もお前と離れたくねぇよ」

ふはっと笑う彩部。

そうだこの顔。

私この顔が大好きだった。

裏表なく、無邪気なこの笑顔。

大事な笑顔。

やっぱり私

好きだ。

彩部が大好きで仕方ない。

大好きだよ?