涙が途絶える日まで




絢奈が帰ってから

しばらくぼーっとしていた。

『もう7時…か。』

ソファーに座っていた私は

すっと立ち上がり

洗濯物を取り込みに2階にあがった。

「ただいまー」

お母さんが帰ってきたみたい。

『お帰り』

洗濯物を全部たたみ、

まだ読みかけの漫画を読み始めた。

主人公がどことなく彩部に似ている。

前までは、彩部とこうなりたい。

こうしたい。

って思いで読んでた漫画も夢のまた夢。

『切な…。』

漫画を閉じる。特にすることもなかったから

1階に降りて明日の支度を始めた。

ふとテレビを見ると、

大好きな歌手が歌っている。

『あ~!なんで呼んでくれなかったのさー』

「始まったときあんた降りてきたから。」

私はこの歌手が大好き。

どんな曲を歌ってても共感できる。

『西野…カナちゃん。かわいいな』

きっと本当にいろいろ

経験してきたんだなぁ。

辛いことも幸せなことも全部。

それなのに笑顔でこんな切ない歌を…

特にお気に入りなのは

会いたくて 会いたくて

かな。

会いたいって願っても会えない
強く思うほど辛くなって
もう1度聞かせて嘘でも
あの日のように好きだよって


会いたい。

会いたいよ。彩部…