涙が途絶える日まで



ピーンポーン

『はあい!』

「留美?よかった。道あってた~」

『意外と迷うよねこの辺。』

「まぁ…ね。
 でもこれからは迷わず来れる♪」

『よかった。どうぞっ』

絢奈を自分の部屋に入れて

しばらく二人で語っていた。

「で、彩部とはどうなったの?」

『実は…。昨日会ったんだぁ。』

「えっ!まじで。彼女いんじゃん?」

『うん…でも会おうって言われて。』

「お~っ!よかったね!!」

『だけど彩部、
 やっぱり彼女のが大事みたいっ』

「うん。」

『会おうなんて言われたら、
 普通期待しちゃうよ…』

「うん…」

『その時ダウンを貸してもらったの。』

「うそっ!」

『それがね、また会おうって意味で…』

「は~?彩部もよくやるねぇ。」

『だから明後日また会うことに。』

「そっかあ。」

『やっぱ期待しないほうがいいよね。』

「まあ…そこまできたらもう
 信じてみてもいんじゃない?」

『彩部を…?』

「うん。好きでもない人と
 時間あけてまで会うわけがない。」

『そうかな。』

「最終的に決めるのは留美だし。」

『うん』

「だからあんま口出しできないけど…」

『ううん!だいぶ救われたよ。』

「そ?」

『うんっ!ありがと~』

「親友だし♪」

『えへへ。あ!そうだ。
絢奈、一緒にテニス部入らない?』

「テニス部かぁ。面白そうだし
やってみようかな!」

『じゃあ明明後日から一緒に!』

「ごっめん!その日だけはパス」

『あぁそう?じゃあその次から』

「ごめんね」

『大丈夫だよ♪明日先輩にゆっとくね』

「ありがと~」

絢奈は好きな人いないのかな。

せっかくこんな優しくて

お人形さんみたいに可愛いのにな。

それから話しはそれて

他愛もない話しを

3時間近くもしていた。

「今日ありがとねっ」

『ううん。また来て!楽しかった』

「私も。じゃあまた明日!」

『ばいばい』

九センチほどのヒールのある

ロングブーツをはいて

こつこつこつ

と音をたてながら歩いて行った。