血が吸えない吸血鬼。




静まり帰った部屋でユエはまた本を開いた。



一方、ルルは着いた屋敷でまた本を読んでいた。



「お姉ちゃんが来るから新しいのも用意したんだよ!!!」



そう言ってフランは本を積み上げる。



「・・・こんなにたくさん?」



「読みきれなかったらずっとここに泊まればいいよ!」



「・・・でもユエがいるから・・・・」



ユエの名前を出すとフランは食いついた。




「ユエ様は素敵よね?ユエ様はどんな女性が好きなの?」




「・・・え?」




「お姉ちゃんいつも一緒なんだから、教えてよー!」




「ユエ・・・えっと・・・綺麗な人じゃないかな?」




「大人っぽいとか?」




「うん・・・」




ルルとは全然違う感じ。



ルルは胸ないけど、フランは胸があるなあ。




二人は顔は似ていたが、服装はまるで違った。




ルルはシンプルな物を好むが、フランは豪華な物が大好きだった。




それを聞いたフランはルルを置いて部屋を出た。




「・・・どうしたのかな・・・?」




ルルはまた本に視線を落とした。




もくもくと本を読むルルは召使いに夕食だと呼ばれた。




「あの・・・フランは・・・?」




「・・・・あ・・・もう会場に・・・」




ルルは頭を傾げた。




なんだかソワソワしてる?




「・・・どうしたんですか?具合でも悪いのですか?」




「・・・い、いえ・・・」




すると、いきなり背後から何かが当たる。




「え・・・・」




体が痺れて動かない。




前からコツコツとヒールの音がする。




「・・・」




そこにはルルを見下す両親とフランがいた。




「・・・生きてまた会うなんてね」




「目障りな出来損ない」




見たことのある冷たい視線。




・・・騙されてたの・・・・?




「・・・フ・・・ラン・・・」




やっと口を動かすとフランは思いっきり睨んだ。




「名前を呼ばないで。出来損ないに呼ばれるなんて気分が悪くなるわ!」




・・・。




「ユエ様とフランが付き合えば私達一族は繁栄できる。あなたは要らない存在なのよ。」