少ししたら手当てと着替えを終えたルルがジルバに連れられてきた。
ユエがジルバからルルをうけとる。
「・・・ユエ・・・」
ルルはユエに抱きつく。
「・・・」
何も言わないルルの頭をユエはゆっくり撫でる。
「お前ら恋人みたいだな。」
タオが飲み物を飲みながら言う。
「・・・・」
ルルはまだ少し震えている。
「タオ、冗談はよせ。」
タオは冗談じゃなかったが、そう言える空気ではなかった。
「ルル、何か飲むかい?」
ユエが聞いてもルルは首を横に降るだけ。
ルルはただユエの存在を確かめるようにぴったりユエに抱きつくだけ。
ユエとタオが仕事の話をしていてもルル何一つ言わない。
「ユエ様、ルル様の顔色が優れません。」
「そうだな。ルル、ベッドで横になろう。」
ルルは首を横に降る。
「ルル・・・」
困ったような声をユエがもらすとルルはビクリと震えだした。
「ルル・・・怒ってないから震えないで。」
「・・・」
「ジルバ、ブランケットを」
「・・・・」
首筋に巻かれた包帯が痛々しい。
ジルバが持ってきたブランケットをルルにかける。
「寒くない?」
冷たいルルの体をユエは心配していた。
「・・・・・」
ルルはコクリと頷いた。
しばらくするとタオが帰った。
「ルル、食事の時間だよ。」
「うん・・・」
落ち着いてきたのか、ルルは口を開いた。
食事をしてユエが席を立つ。
「・・・ユエ・・・?」
「これから少し会議があるんだ。今日のうちには帰るから」
「・・・うん」
ルルはジルバから運んでもらってベッドに入る。
「ジルバ・・・ユエの部屋だよね、ここ・・・」
「はい、ユエ様がご自分のお部屋にルル様を寝かせておけと言われましたので」
ルルはユエの香りのするベッドに一人で寝ていた。
寝ようとしても目を閉じると恐怖がよみがえって眠れなかった。
少し傷む首筋。
ルルはユエのところに居ていいのかな。
ルルは本当は奴隷じゃなきゃいけないのに。
ルルだけこんな良い思いしてる。
ユエに拾われなかったらルルはきっと・・・。
そう思うと体が震えて止まらなくなった。
ユエには恋人がいないのかな。
今日のタオの言葉を思い出した。
「・・・ルル?」
気がついたら、目の前にユエがいた。
「わ・・・ユエ・・・おかえりなさい。」
「ただいま。ルル?何か考え事してたの?」
ユエが上着を脱ぎながら言う。


