血が吸えない吸血鬼。




・・・・
・・・
・・




「・・・・」



パチパチと燃える暖炉。


・・・ここは・・・。



重たい頭を動かす。



すると、ドアが開く。



「ルル様!!」



懐かしい声。



「・・・ジ・・・ルバ・・・?」



「さようでございます!今すぐユエ様にお伝え致しますね!」



ユエ様・・・?



・・・なんで・・・ルル・・・生きてるの・・・?



「ルル!目が覚めたんだね、よかった・・・」



「・・・生きてるの・・・なんで・・・」



ルルはいなくなろうとしたのに・・・。



「ルル・・・もう・・・生きたくない・・・」



「・・・ルル・・・」



「あぁ・・・これ夢の中なのかな・・・。だって、ユエがルルを心配してる・・・」



ルルは力なく笑う。



「ユエのお屋敷にいる・・・これは夢・・・ルルが見てる夢・・・」



ユエがベッドの脇に座る。



「高熱が出ているから、また眠るといい。」



ルルの熱いオデコに手をのせるユエ。



「嫌・・・寝たら・・・もう会えない・・・ユエにもジルバにも・・・会えない・・・」



ポロポロと涙がベッドに落ちる。



「会えるよ、夢じゃないんだから。・・・だから今はおやすみ。」



駄々をこねるルルはしばらくして眠る。



「・・・ルル様・・・」



ジルバは冷たい氷枕をルルの頭の下にしいた。



次にルルが目を冷ましたのは夜中だった。



喉が渇いた。



立ち上がろうとすると、ゴン、という音。



・・・あれ・・・。



何故かルルの目の前にじゅうたん。



「ルル!?」



部屋にユエが入ってきた。



ベッドから落ちたルルをみたユエはベッドに戻した。



「どうしたの?」



「・・・喉が渇いて・・・立ち上がろうとしたら・・・出来なくて・・・」



「・・・ルル、痛い?」



「何が?」



「今ルルの脚をつねってるんだよ」



「・・・うそ・・・」



ルルはもう一度立ち上がろうとする。



「・・・」



地面に足が着いているのに、感覚がない。



脚に力が入らない。



「・・・立てない・・・」



ルルの脚は感覚を失っていた。



「夢なのに・・・おかしいな・・・」



ルルは自分の脚を叩くけど何も感じない。



「・・・ルルの脚・・・おかしい・・・」



「ルルごめん・・・」



ユエに抱き締められた。



「ユエ・・・なんで謝るの?これは夢だよ・・・?」



「夢何かじゃないですよ。」



ルルとユエの前に現れたのは紅い髪の毛の人。



「ユエはわたくしの嘘を見破り、貴女を助けに向かったのです。けれども、貴女は吹雪の中に飛び出し死を選んでいた。それを見つけたユエは貴女を助けた。・・・これは夢でもなんでもない、現実ですよ。」