血が吸えない吸血鬼。




『・・・』


痩せ細って青白い肌。寒そうな薄汚れたワンピース。



裸足の足は傷だらけだった。



『ユエ・・・』



やっと聞き取れる声。



変わり果てた女。




こいつはルルか?



長かった髪は肩で切り揃えられて短い。



『やっぱりルルはいらない存在だった。神様はルルが嫌いなんだね。ルルはユエが大好きだよ。ルルもう一回本当にユエに会いたかった。ありがとうって言いたかった・・・』



最初震えていた声が最後は鳴き声になっていった。



『血を吸われるのも嫌だしお腹も空いた、足も感覚ないし寒いし・・・ルルはもう頑張れないよ・・・もう疲れた。夢の中でも最後にユエに会えて良かった・・・』



涙を拭うとルルは悲しそうに笑う。



『ルルに名前をくれてありがとう。優しくしてくれてありがとう。ルルはユエが大好き。・・・さようなら。』



・・・
・・





「ルル!?」



目が覚める。



まだ夜中だ。



夢がリアルだった。



ルル・・・。



ルルが死ぬ。



死んでしまう。



そう思った。



全部考え直す。




ルルが本当にキスをしたなら・・・あいつを好きならわざわざ俺の夢に出てくるか?



ユエは頭を抱え込む。



「ああ!!くそ!!」



最低だ。



その時部屋のドアが開く。



「ユエ!!!!!」



息を切らすタオが掴みかかってきた。



「今すぐ、北の奴隷の働き場所に行け!!そこにルルがいる・・・」







気がつくと走り出していた。




ルル!!



・・・・
・・・
・・




「・・・も・・・やめ・・・て・・・」



髪の毛を掴まれてまた冷たい水の中に顔を押し込まれる。



・・・苦し・・・い・・・



「奴隷のくせに。奴隷のくせに。」



「はあはあ・・・」



わかってる。



ルルが必要じゃないくらい。



もういなくなりたい。



夜中になって吸血される。



なんでルルは生まれたの。



血を啜られて意識がなくなる。



夢を見た。