ワンピース一枚と裸足で雪かきをした。
足なんて感覚がない。
食事もだ。
「あんたの口にこんなものあわないだろ!!」
そう言って食事を取られる。
「か、返してください・・・」
「あぁ?うるせえんだよ!!」
食事が終われば管理者たちに吸血された。
フラフラ部屋に入ると前科持ちの吸血鬼がルルを拘束した。
「・・・」
こうなるとルルには話す体力もなくなっていた。
「どこ行ってたんだよ」
「話せよ」
「服脱がせればわかるんじゃね?」
ワンピースを脱がせられる。
「や・・・めて・・・」
やっと出た言葉はやっと聞こえるくらいの小さいものだった。
「何言ってるか聞こえねーよ」
首まで隠れるワンピースだから今までは吸血後が見られていなかった。
「「!!」」
首筋をみた二人は一瞬言葉を失う。
紅く腫れ上がる皮膚。
無理矢理の吸血はルルの体に無数の傷を作っていた。
「吸血されてんだ。いい気味」
笑い声が部屋に響いた。
靴もない食事も取れない。
ルルの足は傷だらけで紅く腫れていた。
何かを考えることすらなくなっていた。
ある日、タオがたまたまここを視察に来ていた。
移動する奴隷を見ていたらそこにルルがいた。
フラフラと裸足で歩いている。
青白い。今にも倒れそうだ。
誰もルルがどこの奴隷場に行ったのか知らなかった。
タオは思わずルルの手首を掴む。
冷たい。細い手首。
ルルは振り替える。
「だ・・・れ・・・?」
カサカサの紫の唇からこぼれる言葉。
ルルの瞳には霞んでよく見えなかった。
「ルル?!大丈夫か!!タオだよ、分かるか?」
奴隷が一斉に止まってルルを見る。
管理者がタオを見てオロオロする。
タ・・・オ・・・?
ルルはタオを思い出した。
「は・・・離して!!・・・離して!!」
タオだと分かるとルルは激しく震えた。
こんなことにされたら・・・・。
後ろを見ると奴隷たちが見ていた。
「貴様!タオ様に何て口の聞き方だ!!」
パシン!
「きゃあ・・・!」
管理者がルルの背中を鞭で叩いた。
タオがルルから引き離される。
「タオ様!奴隷などお触りになるなど!」
タオは変わり果てたルルを見て何も言えなかった。
・・・・
・・・
・・
・
一方のユエは毎日毎日パーティに出席していた。
「ユエ様~」
「ちょっとユエ様連れないですわ~」
女たちがユエの周りを取り囲む。
ユエはただ黙ってお酒を飲んでいた。
「ねぇ、ユエ様~」
イヤらしく腕を絡めて身体を密着させる。
冷たいブラウンの瞳は何も映さない。
酔い潰れるまで飲まないと寝れない日が続いていた。
屋敷に帰ってベッドに横になる。
意識がなくなると毎日夢を見る。
『ユエ!お花が咲いたの~、ユエにあげるね』
笑顔で走ってくるルル。
『ユエ、ユエ、』
クルクルとついて回るルル。
「ユエ様、」
艶やかな声で目が覚める。
またか。
ルルの夢を見る。
イライラする。
誰かを殺したいくらいに。
だから毎日適当に女を呼んで乱暴に抱く。
これが日課になっていた。
しかし、ある日から夢を見なくなる。
しばらく経って見た夢のルルは泣いていた。
『助けて・・・怖いよ・・・痛いよ・・・』
毎日見ているうちに段々ルルは弱々しくなった。
ついには、何も喋りも泣きもしなくなる。
ただ冷たい体が転がっていた。
『・・・死んだのか?おい。』
初めて声をかけてみたが、喋るはずもなかった。
ユエは冷や汗をかいて起きた。
「何なんだよ!!!くそ!!!」
イライラがおさまらない。
それからも夢を見た。
死んだはずのルルの死に方が毎日違う。
痩せ細っていたり、血まみれだったり、アザがたくさんあったり・・・。
そんなある日見た夢のルルは生きていた。