労働。吸血。



この繰り返しの日々がしばらく経った。



貧血で体が言うことを聞かない。



晴れた日の雪かきはしばしば倒れることもあった。



そんなある日、朝方部屋に戻って意識を失うルルは夢を見た。



『ルル、ただいま。』



ブラウンの瞳が優しく笑う。



『ユエ・・・』



ルルは走ってユエに抱きつく。



『おかえりなさい』



『寂しかったかい?』



優しく頭を撫でられる。



・・




ルルは寒さで目を覚ます。



「・・・夢・・・」



まだ幸せなころの夢。



「ユエ・・・」



ルルの瞳から涙がこぼれ落ちる。



もう2度と会えない。



そう思うと涙が止まらなかった。



鐘が響いてまた一日が始まった。



奴隷にも仲良しグループがあるらしく短い休憩時間などに管理者の悪口などを言っている前科持ちの吸血鬼グループなどがいる。



ルルは付き合って話す体力もなかった。



そんなある日。



休憩時間にザワザワと騒がしくなった。



みんなの視線がルルに向けられている。



な・・・何・・・。



すると前科持ちの吸血鬼の一人が歩いてきた。



「あんた、ここに来る前だいぶ良い生活してたみたいだな。うちらがここで働かされてる時にさ!!」



ドン!!



押されたルルは壁にぶつかる。



「けほっ」



「しかも奴隷のくせに。有力吸血鬼と?笑わせるね!」



「そんな・・・」



「管理者が話してるのを聞いた奴がいるんだよ!」



「あんた良い思いしてきた分、くれよ!」



いきなり二人に掴みかかられる。



「離して・・・・嫌・・・」



これから雪かきだからと支給された薄い上着を取られ、履いていた靴も取られた。



「良い思いした分の代償だと思いな!あはは!」



「・・・」



哀れんで見る者のなど誰もいなかった。