血が吸えない吸血鬼。




ユエは部屋を出ていく。




「・・・ルル様、ユエ様はルル様のお体を心配しておっしゃったのですよ?」




ジルバがルルに静かに言う。




「・・・うん・・・」




ルルにはユエの冷たい瞳が頭から離れなかった。




・・・あの瞳は・・・。




頭に浮かぶ奴隷管理職、あの吸血鬼。




・・・・違う・・・違う・・・。




ユエは・・・違うのに・・・・。




喉がカラカラ渇く。




「はやく体調を治しましょうね」




ジルバが食事を運ぶ。




・・・・。




何も言わずにルルは口に食べ物を運ぶ。




ルルには食事の味がわからなかった。




「・・・っ」




半分食べたところでルルは口を押さえる。




「ルル様?」




「・・・う・・・」




ルルは食べた物を戻してしまった。




「ルル様!!!?」




「っ・・・っぇ・・・・」




苦しい。




苦しい。




・・・助けて・・・。




・・・・
・・・
・・





あれからルルは食べては戻す繰り返しだった。




いつもユエのあの瞳が離れない。




「・・・」




口数が明らかに減った。




「ルル様・・・今日は天気がいいのでお庭をお散歩しませんか?」




ゆっくりジルバに向けられる紅い瞳はどんよりと暗い。




「・・・うん」




フラリと立ち上がるルル。




「・・・」




ジルバの後に続いて歩くルル。