血が吸えない吸血鬼。




「・・・ユエ・・・ルルなんかどうでもいいんでしょ・・・・奴隷は・・・すぐ飽きるんでしょ・・・」




ルルの瞳から大粒の涙がこぼれる。




ルルは気がついていた。




ユエに持ってはいけない感情がルルの中にあることに。




気がついたら助けを呼んでいた。




ユエしか浮かばなかった。




「ルル、それはフィリの見せた幻想だ」




・・・幻想・・・・。




きっとユエが言うのだからあのユエは幻想だったのだろう。




「・・・でも・・・ユエ・・・ルルなんかどうでもいいんでしょ・・・ルルなんか・・・・」




フィリだけを見つめるユエが頭から離れない。




「・・・最初から拒絶するなら助けなんか呼ぶなよ」




「・・・え・・・」




ユエの瞳が静かに怒っていた。




「・・・きゃ・・・」




ルルをベッドに静かに戻すとユエは何も言わずに部屋を出ていく。




「・・・助けなんか呼ぶな・・・だって・・・無意識だったのに・・・」