血が吸えない吸血鬼。




建物の上からジャンプして地面に音もなく着地した。




「・・・・ありゃ?お前奴隷か?」




囚人服のような服を着た大型な吸血鬼はルルを品定めするように見つめる。




「弟、そんなのどうでもいい」




「せっかく脱獄したんだ。また派手に騒ぐまでだ・・・」




脱獄・・・!?




「俺達はな、死ぬまで血を貪るのが大好きなんだよ。死ぬ恐怖に怯える顔がたまんねぇんだ」




そう言う二人の不気味な笑みにルルは背筋が凍りつく。




ルルはまた逃げ出した。




「兄ぃ、かけっこすかねー」




「少し遊んでやれ」




二人は黒い羽を出すとルルを目掛けて飛びだした。




・・・・なんで・・・ルルが・・・悪いの?




「ほらほら、もっと速く走らねぇと捕まえるぞ」




ケラケラと笑いながらルルを追い詰める。




「・・・ユエ・・・」




頭に浮かぶのは優しいユエ。




「助けて・・・きゃあ!!!」