深緑のふわふわとしたベッド。



彼女はベッドを知らない。



身体を静かに起こそうとした。



「・・・っ・・・」



背中が痛んだ。



すると、後ろから声がした。



「目が覚めの気分はどうだい?」



振り返る。




すると見覚えのない身なりの良い男性が見えた。



彼女は怯えた。



「・・・だ・・・れ・・・?」



掠れた小さな声で彼女は言った。



「ユエ。君は?」




ユエは果物のジュースを彼女に渡してベッドに腰掛けた。



「・・・ュ・・・ェ?・・・名前・・・な・・い。奴隷は・・・必・・要な・・いから」



そう言う彼女にユエは顔をしかめた。



彼女は飲み物をコクリと飲む。



口の中に知らない甘みが広がった。



「・・・おいしぃ・・・」



「君に名前を上げよう。君は奴隷じゃなくなったからね」



ユエの言葉に彼女の動きが止まる。



「・・・奴隷・・じゃない?」



「そうだよ。ここに居ていい。後で案内してあげよう」



ユエは優しく笑う。



ユエはふと彼女の飲んでいたジュースを見た。