血が吸えない吸血鬼。




ユエもフィリだけを見つめる。




ルルなんか存在していないように。




・・・
・・





「・・・あら」




びくり、と反射的に後ずさりをしてしまうルル。




廊下で珍しく一人でいるフィリと出くわした。




「・・・こんにちは・・・」




ルルは早口に言うとクルリと体を回転させた。




なんとなく二人ではいたくなかった。




「あなた、逃げるが好きなのね」




クスクスと笑いながらフィリが言う。




「奴隷のくせに、ユエはどういうつもりなのかしら」




いきなり冷たい声に変わる。




「きゃ・・・」




いつの間にか目の前にフィリがいる。




妖艶な笑みでルルを見つめる。




「毎日どれくらい奴隷が死んでるか知ってる?」




ルルは怖くなっていた。




「・・・奴隷なんてね溢れるほどいるのよ?あなたは例外。奴隷からどれくらい反感をかってるのかしらね」