血が吸えない吸血鬼。




「ユエ・・・・、ジルバのところに行きたい」




「なぜ?」




「・・・・えっ・・・と・・・」




居心地の良くないここを離れたいなんて言えなかった。




ユエはそれをわかったようにジルバを呼んでルルを離した。




「ルル様?どうかなさいましたか?」




「お、お勉強したいの・・・だからお部屋・・・」




ルルとジルバは部屋から出ていった。




その瞬間に穏やかだったユエの表情が無表情になる。




「俺はまだ許す気はないからな。」




「ユエ、あれは仕方ないだろう。ああしないとお前がやばかった。」




ユエがタオを睨んだ。




「仕方ない・・・?ルルを殺そうとした。ルルに傷をつけたのにか?」




「この際だから言うけどな、なんで奴隷を貰った。お前みたいな上流階級なら縁のない奴だろ。」




「・・・ルルは無理矢理、奴隷管理職の奴らに吸血されてたんだよ。一日の重労働が終わって皆が寝静まる昼間にな。」




「・・・」




「酷い首筋だった。無理矢理なんて痛いにきまってる。それを休みなく毎日繰り返されていた。」




だからあんなに吸血を怖がったのか。




タオは少し罪悪感が芽生えた。