鮮やかな紅い瞳。
ユエが不敵に笑う。
その笑顔が怖かった。
「・・・ぁ・・・」
脚が震える。
怒っているユエは怖い。
「・・・ユエ・・・ごめんなさい・・・だから・・・怒らないで・・・」
ルルの瞳から涙が零れた。
風なんかないはずの部屋の中の書類やユエの周りのものがカタカタ動いていた。
・・・ユエ・・・。
「・・・ユエ・・・ユエ・・・ごめんなさい。・・・やっぱり・・・ルル・・・迷惑だ・・・」
ルルが両手で顔を覆う。
「・・・ユエを笑顔に出来ない・・・」
両手で顔を覆った時、手から何かが落ちた。
床に落ちたのは、小さな可愛らしいブレスレットだった。
金属に小さく控えめに光る石がついていた。
「・・・っえ・・・ふぇ・・・・・・」
ルルは落ちたことに気がつかずに泣いていた。
小さく震えて泣くルルに段々とユエが落ち着きを取り戻していた。
「・・・ルル・・・、」
音もなくユエがブレスレットを拾い上げて、ルルを軽く抱きしめた。
「・・・っふぇ・・・ユエ・・・?」
ユエはルルの瞳を自分の手で覆う。
「・・・まだ瞳が紅いから。」
「・・・ユエ・・・」
「・・・怒ってごめんね、でも奴隷がいいなんて言わないで・・・」
いつものユエだった。
「・・・ごめんなさい・・・」


