血が吸えない吸血鬼。




それからというもの、ユエは本当に血を飲まなくなった。




「・・・エ・・・ユエ・・・」




「・・・ぁぁ、ルル・・・。どうしたんだい?」




吸血鬼が血を飲まないのは自殺行為だった。




力が衰える。




ユエは血を吸わなくなったぶん深い眠り込みが多くなった。




力を蓄えるために。




ルルはそんなことを知らない。




ジルバにもルルに言わないように告げ口をしていた。




「・・・ユエ・・・本読んでたのに、寝てたから・・・」




ルルはユエが読んでいた本を手に持っていた。




おそらく落としたのだろう。




「・・・ルルありがとう」




「・・・ユエ・・・眠いの?最近ずっと眠そう・・・」




ルルも最近ユエがおかしいのには気づいていた。




すると、ユエはルルを安心させるように笑う。




「ただの寝不足だよ。」




ルルの頭を撫でた。




・・・
・・




しばらく経つと、ユエは一日中寝ることが多くなった。



ルルと会わない日が増えていた。



そんなある日だった。




バタン、とルルの部屋の扉が荒々しく開いた。