血が吸えない吸血鬼。




ユエの腕の中で暴れるルル。




華奢なルルの力はユエの前では無意識だった。




「・・・ルル、もう血は吸わない。約束するから・・・」




「・・・本当・・・?」




ルルは小さくなりながら答える。




涙を溜めながら聞くルルにユエは優しく笑う。




「本当だよ」




「・・・・」




ようやくルルが遠慮気味にユエに体を預けた。




「・・・ルル、本当に怖い思いをさせてごめんね」




「・・・ユエ・・・」




・・・ルルの吸血への恐怖がこんなに大きいなんて・・・。




小さなルルを抱きしめながらユエは思った。




「ユエそれマジで言ってんのか・・・・」




タオが言う。




「・・・ぁ・・・」




落ちていたルルが再び震える。




「大丈夫。ルル、あの馬鹿から守るから、そんなに怯えないで」




頭を優しく撫でる。




「ユエ、馬鹿って俺のこと?え、扱い酷くね」




「・・・」




すると、タオ目掛けて花瓶が飛んできた。




「ちょ・・・、ユエ怒りすぎだろ。・・・あーわかったよ。今日は帰る。じゃぁな」




花瓶をもとの場所に戻すとタオは部屋から出ていく。




「・・・ルル・・・」




ユエはルルを大切そうに見つめた。




何だかくすぐったい気分にルルはなった。




「・・・ユエ・・・怖がってごめんね・・・。ルル、痛いの嫌いだから・・・」



「・・・大丈夫だよ。だから、もう怯えないで。」