血が吸えない吸血鬼。




「・・・ジルバ、ルルを寝かしつけてやってくれ。」




そう言うとユエはその場を去った。




「・・・・・・」




ルルは小刻みに震えていた。




「ルル様、歩けますか?」




小さく頷くとルルは歩き出す。




「・・・ジルバ・・も・・・血飲むの・・・?」




震える声でジルバに聞いた。




ジルバは首を横に振る。




「私たち召し使いは血が飲めないように牙を抜いています。」




「・・・・」




ルルは安心したように息をついた。




「・・・・ルル様は・・・ユエ様のあのお姿が怖いのですか?」




ルルは頷いた。




「怖い。すごく怖い・・・。痛いの思い出すから・・・すごく怖い。」




ジルバはルルの膝を手当てして何とか寝かしつけた。




・・・・
・・・
・・





次の日。




「ルル、おはよう。昨日は怖い思いをさせてごめん。」




もとの瞳の色。




ユエがジルバの陰に隠れるルルに言う。




「・・・」




「ルル様・・・・。」




ジルバがルルを前に出そうとすると、ルルは必死に首を横に振る。




「・・・ゃ・・・」




「・・・ルル、ごめん。だから、顔を見せて?」




「・・・ユエ・・・血飲む・・・怖い・・・ルル・・・怖い。」




小さな声でルルが言う。




「・・・・」




ユエは何も言えなかった。




それからルルはユエに近づかなくなった。