血が吸えない吸血鬼。




「なぜ・・・そんな事を言うんだい・・・」




一歩ユエがルルに近づく。




ルルは恐怖に満ちた顔で必死に後ずさりする。




「・・・怖い・・・怖い・・・いや・・・いゃ・・・・」




涙がポロポロとこぼれる。




無理矢理された吸血の痛み。




ルルは自分の首筋を手で隠した。




「ジ、ルバ・・・ジルバ・・・ジルバ・・・助けて・・・・」




か弱い消えそうな声でジルバを呼んだ。




ユエは悲しそうな紅い瞳でルルを写す。




「ルル、何もしないよ。膝が転んで擦りむけている、手当てしないと。」




「・・・っ・・・怖い・・・・こないで・・・いや・・・・怖い怖い・・・」




ルルの瞳にはユエではなく血を貪る奴隷管理職に見えた。




「ぃ、いやぁぁぁ・・・・怖い怖いよぉ・・・・・」




ユエは頭を抱えて小さくなりながら怖がるルルを見た。




たくさん涙が出ている。




「ジルバ。」




ユエが艶やかな声でジルバを呼ぶとジルバが現れた。




「ユエ様。何の用でしょうか。」




ユエは静かに視線をルルに移した。




「ルル様!??どうなされましたか???!」




ジルバが小さく丸まるルルに近寄る。




「ジ、ルバ・・・。ジルバ。ジルバ・・・怖いよ・・・怖い・・・」




ジルバを見るなりジルバに抱き着いたルル。




ユエはそれを悲しそうに見つめていた。




「ルル様、どうなされたのですか・・・?ユエ様ですよ?」




「・・・ユエ・・・」




ルルがジルバの陰からユエを見た。




ルルのその紅い瞳が怯えていた。