ユエが優雅に歩いてくる。
「・・・・」
ルルの元に着くと悲しそうに瞳を細めた。
「ルル、どうしてそんなことを言うんだい。」
紅い瞳から溢れていた涙をユエは指で拭う。
フワッと体が動くようになった。
「・・・ユエ様・・・触ったらダメです・・・」
後ろが壁で逃げられない。
「何故?」
妖艶に言う。
ルルの腰に腕を回してユエは自分にルルを引き付けた。
「ひゃ・・・ユ・・・ユエ様・・・が・・・汚れます・・・ルルは・・・名前もない奴隷です・・・」
「家庭教師に言われたのかい?」
小さく頷いた。
するとユエはルルを引き付けたままソファーに座った。
「ルルを悲しませるなんて。」
華奢な体はすぐに折れてしまいそうだ。
「ルル、"ユエ様"じゃなくてユエでいい。それに言葉使いも元に戻して。」
「・・・ルルは・・・奴隷の出来損ないだから・・・」
「ルルはもう奴隷じゃない。汚れてない。だから悲しい顔をしないで。」
「・・・っ・・・」
「家庭教師が恐かったかい?」
コクコクと頷くルル。
「ルルはそのままでいいんだよ」
ユエはルルに笑いかけた。
「・・・ユエ・・・ふぇっ・・・」
紅い瞳が涙で溢れた。
ユエはルルの背中をさすった。


