夢の跡~はかなく消えて~

慌ただしく真紀の連絡から準備を済ませ終えた
「まい」の気持ちの中に スーッと息を吸い込み鏡に目線を合わせる。


「まい」の中で
予感がざわめくのを感じたからだ。

【真紀は、何かを私に話したいんだ、それは……きっと予想がつく……。 裕二のことなのだろう……。真紀はきっと何かを知った……。】


「まい」のざわめきは加速する、


……。

ワン切りで携帯が鳴る。 表示には、
……真紀……

鞄を強く握りしめ表へと出た「まい」の目に飛び込んだのは、

情けなくも目を腫らし
一点に瞳を落としハンドルを握る真紀の姿だった。

……真紀、

真紀、真紀、真紀……!

陽も西側のビルの奥へと沈みかけた、まだ、ほんのりと人々を照らし出している中での「まい」の姿は、胸元から足元へとラインストーンのちりばめられ、

鮮やかに光を受け返し
妖艶な程にたまゆらにみえる。


真紀の瞳が、
「まい」を捕らえた、
声が聴こえたのでは無い 微かに、
視界に飛び込んだ光の先に視線を移したのだ、

「まい」……。


真紀の瞳から「まい」のドレスにあるラインストーンに負けない程の
大粒の涙がポロポロと溢れ落ちていく。



駆け寄り助手席に滑り込む「まい」と顔をあわせながら真紀のしゃくりあげる声が大きくなるのを感じた。


『真紀!!泣かないで! 大丈夫だから!泣かないで真紀!』


真紀の頭を包み込む様に撫で寄せる「まい」。


『うん、…うん、…
「まい」が天使に見えたぁの…アタシ、死んじゃった…と思っう…くらい…綺麗なだよ…』


!!?
『もう!バカ言ってる! こんな時まで、私に気を使ってどうするの!!』

『……うん…ごめん。』

もおぅぅっ!
「まい」にとっての真紀は掘っとけない存在でしかない、
ツクヅク認めてしまう。